ゆうりしんぶん 2022年 3月号


男子、厨房に入る

ゆうりくん、初めて君が料理みたいなことをしたのは 2022年2月
と覚えておいてください。
つくったのは、ホットサンド。わかりましたか?

将来、好きな女の子に「家事出来ますよ」アピールしようとするとき
「8歳の時にホットサンドつくりました」と言いなさい。
まぁ ほぼほぼ ママがつくってたように思いますが、
パンにサラミを並べたり、人生で初めてコンロで火をつけたり、
ホットサンドメーカーを片面きっかり2分ずつ 火にかけたり、
「料理をした」といえるのではないかと思います。ギリギリね。

最初につくった料理が、ケーキみたいな甘っちょろいものでなく
焼肉みたいな「それ、お店で焼いたんじゃないの?」というのでもなく
白身魚のポワレみたいな 「え、そんなのつくる?」というのでもなく
ホットサンドであるというところが、ちょうどいいよ。

「8歳でホットサンドか、嘘ではなさそうだな」と思ってもらえるよ。


2022年2月の うごく、ゆうりくん 

従姉妹たちと おばあちゃんの誕生日のお祝いをしました。
ある日、テレビで「ホットサンドがうまい」と聞き、
急にホットサンドにハマったゆうりくん。
ケバブも初めて食べたり、だんだん好きな味が増えてきたかな。
しかしまぁ、小二男子って、変な顔したり、変なことしたり
非常にメンドクサイ。
ゆうりくんに聞くと、クラスのみんなが変なことしているんじゃなくて
「ボクだけがしている」とのこと。
そういうオンリー1 は追い求めなくて いいんじゃないか。

さて、最後のおまけの歌は なんていう曲でしょう? → 答え

♬ "Spring"  by  Let’s Eat Grandma


mama point

「テストで100点取れたら 1ポイント!」
「学校の宿題のほかに 算数ドリルや書き取りをやったら、1ページごとに1ポイント!」
そのほか、ゆうりくんが特別に がんばったことには mama point をあげちゃうよ。
50ポイントたまったら、クレーンゲームで遊べますよー。

でたでた!大人たちが使いがちなキタナイやりかた。
モチベーションを簡単に引き出そうという、インセンティブ作戦。
ゆうりくんも、何かにつけて「これポイントになる?」と聞いて、ポイントにならないなら がんばれない。
そういうのダメだと思うんだよね。

・・・と思ってたんですけどね。まぁ実際にはそうでもないみたいです。

なぜか? ゆうりくんが、大人たちの狙いを 自分で考えて超えてくるからです。

例えば、「算数ドリルや書き取り 1ページで1ポイントくれるんなら、100ポイントでクレーンゲームでも大丈夫」とか
「算数ドリルや書き取りをやる理由は、ポイントが欲しいというより、ママや先生がよろこんでくれたから」とか
「スイミングスクールで昇給するたびにポイントもらえてうれしかったし、次のグレードで辞めちゃおうと思ってたけど、なんだかもう少し続けてみようかな、という自信がついてきた」とか。

すげぇな、と思います。
mama point っていうのは、ゆうりくんにとって、ママとたのしくコミュニケーションするツールなんですね。
がんばっちゃう自分への照れ隠しというか、「実利があるなら なお良し」というか。うまく使いこなしています。
毎回 予想とか心配とかを超えてくるから、感心します。


おとうさんのコラム

2022年2月7日の糸井さん

ほんとうに自由になる予算があったら、
なにをどうしたい?
そう言われても、なかなか「それはいいな」
と思えるような素敵な考えは思いつけないものです。
なにか足りないものを補うとか、どこか整備したいだとか、
なにかしらを世間並みにしたいだとか、
マイナスの要素をゼロレベルにすることは思いつくんです。
大きな災害の後に補償金がおりるというときでも、
いままであった建物が流されたので、元通りにしたい、
というような場合は認められるわけです。
が、この機会に新しい事業におこしたいという計画や、
元とはちがうかたちのことをしたいということには、
なかなか予算も下りないと聞いています
(特例やら、例外もあるのでしょうが)。

こういう傾向は、もちろんぼくにもあるわけでして。
昔、商売をやっている人に相談されたことがありました
「イトイさんだったら、どういう店が理想ですか?」と。
そういうときに、ぼくは「どういう店があったら、
その商売はうまくいくか、稼ぎにつながるか」を、
考えてしまって、親切めかしてそれを言ったわけですよ。
そしたら、その人が、静かに言ったんです。
「どういう店が儲かるかとかは、わたしの専門なんです。
イトイさんには、そんな利益とかに関係なく、
どんな店があったらいいだろうなぁを聞きたいんです」と。
夢のような、理想だなぁと思えるようなことが、
いまビジネスをしているじぶんたちには考えられない。
「ほんとうは、どういうものがいい」という夢が、
みんなが思いつくありきたりのものになってしまう。
ホラのようでも、冗談みたいでも、夢想でも、
「そんなのあったら、だれだってうれしいさ!」
という想像さえできれば、ビジネスは後で考えられる、と。
それを言われたときはショックだったなぁ。

ちょいと利口ぶって「どうやったら利益があがる」とかを、
考えられるつもりでいたのかよ、という思い上がりと、
じぶんなりの、笑って語りたい「夢のようななにか」を、
考えられなくなっているという現状に、落ちこんだのです。
「ほぼ日」も都会と山のなかと二ヶ所あって、
それを年に何度か移動しつつ仕事していきたいね、とか、
そんなことを夢想していて、ふと思い出したお話でした。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
 天国の絵が平凡になりやすい、ということにも関係あるよね。 

ゆうりくんに もしも「ほんとうに自由になる予算」があったら
最初にクレーンゲームをいっぱいやるんだろうね。
でも、ゆうりくんも うすうす気づいているように、
1万円とか遊んだあたりで「もういいよ」ってなるんだろうね。
YouTuberさんたちが、ものすごいお金を使って、
クレーンゲームとかをやり続けていることがあるけど、
あれはたぶん「誰かが見てくれている」からできるんだろうね。

おとうさんにいっぱいお金があったら、いろんな場所に住んでみたいかな。
大きな家は引っ越しが大変だから要らない、狭い部屋でいい。
今年はここ、来年は春ごろにあっち、夏になったらあっち
なんて、興味本位で住む場所が選べたらいいな。

でもまぁ、ゆうりくんが困っちゃうよね。
学校に行かないといけないからさ。
そういうおとうさんだって、お仕事があるんだけどね。
…って考えたら、夏休み・冬休み・春休みなんだよね。
学校お休みだから、好きなところで過ごせそうだよね。
1回か2回 ホテルに泊まるような旅行じゃなくってね、
引っ越しぐらいの勢いでね。
そうなったらいいいな。

おとうさんのマインクラフトは、サバイバルモードで
村に住みついて、村のかたちを変えちゃうような遊びかた。
本当の人生では、まちのかたちを変える必要はないけど、
そのまちの中に自分が大好きな場所をいっぱい見つけたいね。
そんなおとうさんだから、旅行会社に勤めているんだろうね。

でも、旅行会社に勤めている多くの人たちが、いまだに、
「"あちこちに住む"ということをかなえることが自分達の仕事だ」
と思っていないんじゃないかな。
旅好きにとって、夢のような、理想だなぁと思えることを
旅行をビジネスにしている人たちが考えられないんだよ。

おとうさんは会社で仕事をしていて、
「これがやりたくてやってます」という人に なかなかあわない。
誰をどんな感じで笑顔にできるのか イメージしないままに
無難な感じにさっとやって 仕事をやった気分になってしまう人って多い。

ゆうりくんは、じぶんなりの笑って語りたい「夢のようななにか」を
信じて追い求めてください。
うまくいかないとき、ヒリヒリするけど、
「夢のようななにか」だから「もういいや」にならずに続けられます。

がんばれ、ゆうり。


MUSIC

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